勉強は集中力が全て。作業興奮とドーパミンをうまく利用して集中力を高める方法とは
勉強しないといけないのに集中できない。そんなときってありますよね。でも勉強する気はあるのに勉強できないというのは、そもそも間違っています。順番が違うんです。ほんとうは「やる気があるから勉強する」のではなく、「勉強するからやる気が起きる」んです。詳しく説明していきましょう。そして最後に、どうすれば集中できるかご提案します。
勉強の集中に欠かせない作業興奮とは何か
何も行動していない時はそもそも「やる気」なんて起きません。でもやり始めると、なぜか自然と集中できます。そして集中できたことによって大量の課題を疲れを感じることなくやりとげることができたという経験、みなさんもあると思います。これは、詳しくいうと脳の中の側坐核(そくざかく)が関係しています。
ある作業をすると、側坐核が作業興奮を感じて、やがて作業効率があがりはじめます。この「作業興奮」という概念を提唱したのは心理学者のクレペリンです。
勉強に集中力、モチベーションを与えてくれる側坐核
側坐核というのは、脳の奥深く、海馬のしっぽのような部分にふたつ付いています。ふたつ付いているということは、それだけでとても重要な部位だとわかりますよね。この側坐核は、ドーパミンという神経伝達物質の中継地点になっています。そしてこのドーパミンこそがやる気・集中力をもたらす大切な脳化学物質なんです。
側坐核はそれほど丈夫な部位ではなくとても繊細だといわれています。麻薬などで異常なドーパミン量に曝されると、一時的な興奮が得られる反面、その後は一転してモチベーションのない、感情の起伏のない人格に変容してしまう例が多くあります。
また、頑張ろうとしすぎていた人が、目標を達成したとたん、または目標を達成できなかった瞬間に燃え尽きてしまったということもよくありますよね。側坐核をうまくコントロールして、モチベーションを持続するためには、無理のない適度な刺激がとても重要なんです。
勉強に集中力を与えてくれるドーパミン。どうすれば活用できるの?
ある刺激が側坐核に入ってくると、それが生存や繁殖に有益だと思われた場合は、ドーパミンによる報酬系が働きます。そしてそれが、モチベーションの上昇につながります。とても簡略化していうと、10分「も」続けてある作業をしていると、そのようなことは「有益」にちがいない、悪いことなどあるはずはないと、脳自身が「思い込み」してしまうんです。だったらもっと続けさせるために、ご褒美をあげよう。この勉強は「有益」に違いないのでドーパミンを与えて、さらにモチベーションを上げてやろう。続けさせようとするわけです。
つまり「入り口」の10分さえ続けられればやがてドーパミンによる「作業興奮」が訪れる。そして、そのあとの1時間、2時間は集中して、簡単に楽しく気持ちよく続けられます。
まとめ ハードルの低い作業をまずは10分続けてみましょう
いきなりハードな勉強や、とりかかるのさえ面倒だなと感じる勉強は、最初の10分には適しません。できるだけ、嫌にならずに続けられる、ハードルの低い10分の作業を自分に与えましょう。たとえば集中して勉強したあとに、じゃあ次は最初にこれを復習しようと、10分の課題をあらかじめ決めておくのもいいでしょう。勉強が終わる前に、次の勉強のプログラムを作っておくわけです。
自分で決めたルーティーンのとおりに勉強のスタートを切る。これによって無駄なく作業興奮に入り込むことができます。
またたとえば、これから3時間勉強するとしたら、3時間分のプログラムを組み立てる作業を最初にもってきてもいいかもしれません。時間を最適に使うために、どういう順番で何をするかを決めることはとても大切です。おまけに、けっしてハードワークではないので、「作業興奮」への導入として、予定を組む10分をあえて設定するのも有意義です。
脳にさからわない、脳のメカニズムに沿った勉強こそ、王道であり、最短距離でもあります。集中できない時には「作業興奮」の活用。10分の作業。ぜひ、覚えておいて下さい。