現代文の勉強法 論理に脳を同期すべし 現代文は短期で伸びる

11月 10, 2017

はじめに

現代文は日本語で書かれているんだから、なんとなく理解できるし、ある程度は得点できる、だから勉強法なんていらない。評論文の出題が多いけど、そもそも人によって考え方が違うのだから、わからなくても仕方ない。小説なんて勉強してもどうにもならない。だから現代文は時間をかけるだけ無駄だという人。とても多いです。でも全て間違いです。

現代文が苦手な人、伸びない人はぜひお読み下さい。そして、他の教科の成績が思うように伸びない原因も、実は苦手の現代文にあるかも知れません。簡単に効率よく成績を上げて、しかもそれを安定させるには「脳を論理的文章と同期させる」のがいちばんなんです。でも、その説明の前に、まずはあなたの勉強のモチベーションから上げていきましょうか。

なぜ現代文の勉強が必要なのか

大学では、一部を除いてほぼ日本語で授業が進められます。そのため、授業を理解するには日本語の理解力が必須です。A大学が必要としている授業理解の水準が、ちょうどA大学の現代文の試験内容なんです。これくらいのロジカルなテキストを読んで理解できないと、うちの大学の授業にはついてこれないですよ。だから、うちに来ないで下さい、という指針が現代文の試験だと言えます。シンプルに入試科目だから現代文を勉強するんだという人もいるでしょう。もっともです。でも、それだけではないんですね。ここでは根本が、その大学でまともに勉強できるか、が問われています。

 

現代文を勉強すると他の教科の成績も上がる

また、他の教科をしっかり理解するにも、現代文の能力が必要です。現代文をしっかり学習すれば、論理的思考力が強力に養われます。それが他の教科の理解力の鍛錬に自然とつながります。

たとえば、世界史で、フランク王国の成立について学んで、486年という年号といっしょに覚えたとします。しかし、その出来事の内容、原因、影響範囲といった歴史の流れを論理的に説明できない限り、知識は断片的なものとなり、記憶に残りにくくなります。関連づけができない、または弱くなります。そして暗記中心に勉強した結果、待っているのは膨大な暗記作業と、暗記できているかどうかの確認作業です。世界史という大木の幹や枝。複雑な流れを論理的に理解できない限り、目の荒い網で小魚を採り続けるような不毛な作業が続きます。暗記力は論理力と結びついてはじめて、とても強化されるのです。

長くなりますが、医学部等の超難関入試に失敗して浪人し、次の年にどのように勉強し直したかという問いに、暗記3、思考7という配分に変えたという人がいました。暗記を重視した学習には限界があり、そればかりだと結局は時間を無駄にするというのです。すごく理解できる答えでした。全体を論理的に見通すことで、設問者はこういうことを聞いているのだなとか、こういう能力が求められているのだなとか、いろいろなことが俯瞰的に見えて、暗記科目の理解も簡単になるんですね。

英語でも同じです。使われる言葉が日本語ではないというだけで、解いているのは英語で書かれた現代文です。英文の論理展開についていけなくなると、結局何を述べているのかわからず、設問にちゃんと答えられません。また、少しくらい語句がわからない場合でも、論理展開から推測して、正解を導けることもよくあります。論理を展開させる英単語(for that reasonみたいな単語)に注意して読んでいれば簡単です。

現代文に戻りましょう。それでは小説なんかが出題されたらどうなるのか? 論理的な能力で解答できるのか。こたえは、応です。むしろ小説のような一見情緒的でどうにでも解答できるじゃないかと思える設問にこそ、論理的思考力が役立ちます。だって、万人が納得できる問いと答えがないと、入試問題なんて成立しないんですよ。曖昧さがゼロでないといけないのです。それがたとえ小説からの出題であっても、です。「女は・・・という言動をした」という原因があって、「男は・・・と思った」という因果性さえ追えれば、小説の問題なんて、下品な言い方ですが、カモです。最高の得点源です。答えは問題文と設問に、全部書かれています。ただ、小説は「論理展開語」を略しているので、ややつかみにくいというだけです。

現代文の勉強は一生もの

このように現代文で培われる論理的思考力は、全ての教科の成績向上につながるわけですが、ざっくり言いましょう、てっとり早く地頭(じあたま)が鍛えられるのが、現代文です。この能力は大学で必要なだけではなく、社会人になっても必要な能力です。プレゼンテーション能力や企画立案能力、経営判断能力などに直結していきます。現代文の勉強は社会人になってから本当に生きてきます。ロジカルシンキングとも言われるこの能力は、暗記ものなどではないので、一度身に付いたら一生使える能力と言えます。

現代文の勉強法はこれだけ 現代文は脳の格闘技です

まず、問題集を用意します。次に問題集の文章を読みます。そして、その中から、難しいけど面白いことを言っているなと思える人を見つけて下さい。次にその人の著作を入手して読み、理解する。シンプルに言えばそれだけです。「面白いことを書いている」ことがまず重要です。何より重要です。面白いからこそ、難しくても読んでしまえます。理解できたと思えるところも、ここはわからないというところもあるでしょう。しかし大枠が理解できれば、細かいところはとばしてください。ここはもっと難しい著者の文章、抽象度の高い文章に馴れたあとで読めば、簡単に理解できます。

こうして読むことで、一時的に、その人の論理展開、その人の脳と同期することになります。その結果、その人の論理展開力にワンステップ近づきます。難しいということが、ちょうどいい負荷になります。それらの著作の中には、かなり抽象度の高い文章があるでしょう。そのときはフォロー的に、「ことばはちからダ!現代文キーワード最重要キーワード20」(河合塾) などを活用してもいいかも知れません。でも、細かい言葉にあまり執着しなくてもだんだん読めるようになります。負荷トレーニングとはそういうものです。

このレベルがサクサク読めるようになったら「よく読んで答えなさい」が身に付きます。いつも設問に書いてあるアレです。なんのことか? 現代文は、よく読んだら答えられるようになっているんです。答えが書いてあるんです。理解したらあとは探すだけ。

さて、適当に負荷のある、しかも面白い本を2−3冊読んでから、実際の問題集に戻ります。読んだ著者も含め、同じレベルの問題に数問当たってみましょう。苦手意識はかなり消えているはずです。あとは、次のレベルの本を選んで繰り返します。遠回りのようで、実はどんどん能力が身に付き、しかも定着するのでおすすめです。

おすすめというより、受験期間突入前、または突入後のいちばん早い段階で、やりきりましょう。

まとめの代わりに

以下は。2000年以降のセンター試験の現代文の出典です。文部科学省が超一流と認めた、日本を代表する思想家、評論家です。著作を読んで。彼らのうちの数人の思考力、論理展開力に同期することに、そんなに時間はかからないでしょう。下記のうち、もし東京大学か京都大学の、教授か出身者がいれば、同期しておいて損はないと思います。しっかり揉まれてみて下さい。*難関大学はそれぞれの過去問のレベルに合わせて下さい。

凹の時代 中沢正夫
水族館への招待 鈴木克美
書くこと』の衰退 近藤譲
猫とロボットとモーツァルト 土屋賢二
心で見る世界 島崎敏樹
すまいの明暗 滝沢健児
都市の憂鬱 富永茂樹
哲学・航海日誌 野矢茂樹
世紀末文化私観 粟津則雄
身ぶりからことばへ 赤ちゃんにみる私たちの起源 麻生武
「私」とは何か 浜田寿美男
哲学の風景 沢田允茂
人はなぜ習慣的に行動するのか 塩沢由典
俳句の精神 寺田寅彦
世界と人間 山下勲
生命の哲学 竹田純郎
哲学の覚醒 松永澄夫
技術と人間の哲学のために 中岡哲郎
聴衆の『ポストモダン』? 渡辺裕
サウンドスケープとデザイン 鳥越けい子
抽象絵画への招待 大岡信
演劇入門 福田恆存
小津安二郎の反映画 吉田喜重
スタイルと情報 吉岡洋
言葉への戦術 別役実
美術館のジレンマ 建畠晳
日本の庭について 山本健吉
差異と隔たり 熊野純彦
住居空間の心身論『奥』の日本文化 狩野敏次
ヨーロッパの闇と光 高橋巖
かんけりの政治学 栗原彬
ニヒリズムの思索 気多雅子
資本主義と「人間」 岩井克人
画家の領分 李禹煥
身ぶりの消失 鷲田清一
建築と身体 角野幸博
境界としての自己 木村敏
身体のメディア的変容 大澤真幸
鐔 小林秀雄
理性の探究 西谷修