ほめる勉強法 成果を出すには人をほめる? 一流アスリートに学ぶ!
はじめに 辺縁系は知らないあいだに働く
一流のアスリートが素晴らしい結果を残した時によく「両親に感謝します」「これまで育てていただいたコーチに感謝します」「対戦した相手は素晴らしかった」ということを、決まり文句のように言いますよね。対戦チームや相手選手をけなす否定的な発言はほとんどありません。
彼らは無意識に「否定的な言葉を選ばない」ことを実行できています。それにはちゃんと理由があります。脳は主語を理解できない、というのがその理由です。そんなことない、自分は主語くらいちゃんと理解している、という声が聞こえてきそうですね。
勉強にどう関係しているのか?
ここでいう主語を理解できない脳とは、辺縁系と呼ばれる部分す。この部分は、逃避、闘争、摂食といったとても原始的な感情・情動に関係する中枢回路です。辺縁系は、魚類、爬虫類、哺乳類全般に備わっています。いわばいちばん反射的で原始的な脳です。この部分には、もともと自意識という概念もないため、主語のない世界で働いています。
つまり、新しい脳、意識では主語をちゃんと理解していても、無意識の部分ではそれを理解できない。つまり相手を「バカだ」「弱い」「たいしたことない」と否定した言葉が、全部自分の深い部分にはねかえってしまうんです。
そして、そういう言葉ばかりを何回も使っていると、それが生存に関わる重要情報なんだなと、辺縁系の深い部分で共有・記憶されてしまうんです。その結果、自分自身が「バカ」で「弱く」て「たいしたことない」んだと、ネガティブな感情に支配されます。
だから、一流アスリートたちは、意識してか無意識にかはわかりませんが、そのような否定的な言葉を使わないように心がけているんですね。すべて、いい結果を残したいためです。
このように、とても原始的な脳である辺縁系、特に扁桃核や海馬は、実は、勉強と関わりの深い、記憶の整理と蓄積を担っています。この部分がポジティブに活動することほど、勉強の強い味方はありません。これはぜひ、勉強にも応用してみたいと思いませんか。
家族や先生やまわりの人に感謝し、心からほめてみましょう
上記のように、脳は、主語が理解できないため、他人にありがとうと感謝すると、そのまんま、自分に対して感謝することになります。そして他人によくやったね、というと自分に対してよくやったね、とほめることになります。
逆に人に否定的なひどい悪口をいったり、思ったりすると、すべて自分に返ってきて、自分をそのようなダメな人間と思い始めます。自分をダメ人間だと思いはじめると、さらに他人の悪口を言って人の評価を下げることで自分の価値を高めようとします。そうすると上記のシステムで、自己評価が更に下がります。そうなると、悪循環です。
他者への「高評価」「好評価」こそ、自己評価を高める、いちばん効果のある、そして簡単な手段だったんですね。自己評価を高めることで得られる、このようなポジティブな自信は、かならず辺縁系である扁桃核や海馬を前向きにしてくれます。特に、感情を決定しているとされる扁桃核を強く刺激してくれるでしょう。いまやっている勉強が、大切なことなんだとほんとうに心から思えるようになります。
辺縁系は生物にとって、脳の起源ともいえる古い器官です。でも、だからこそ、とても支配的でもあるんですね。ここを活性化すれば、記憶力はもちろん、「こころ」としか言いようのない「あなた全体」を活性化してくれます。
まとめ
勉強するときには、ネガティブな思いは横に置いてしまいましょう。「勉強がつまらない」と思いはじめると主語のない「自分を含めた全てのものがつまらない」と認識してしまいます。そして自分または他者に対するポジティブな思いだけを口にするようにしましょう。勉強する仲間をほめましょう。誰かをほめるメール、感謝をするメールも、効果があります。
この記事があなたの勉強に、少しでも役立つことができれば幸いです。