脳科学からみた勉強法 基礎を短期間で繰り返すのが近道かつ王道である理由

11月 10, 2017

はじめに

たとえば一般に暗記系の科目とされる世界史では、ア行だけで、下記のような人物が登場します。もうこれだけで大変ですね。これを脳科学的な考え方をベースに効率よく記憶していくにはどうすればいいのか、いっしょに考えてみましょう。

アントニウス
アントニヌス=ピウス
マルクス=アウレリウス=アントニヌス
アレクサンドル1世
アレクサンドル2世
アリスタルコス
アリストファネス
アナクサゴラス
アナクシメネス
アタナシウス
アリウス
アルサケス
アウグスティヌス
アウグストゥス
アウグストゥルス

初学ではどうしようもないですよね。暗記するのにこの「ア」だけでとんでもない手間になります。これが約2000人続きます。いくら優秀な脳でも悲鳴をあげます。それではどう
のように勉強すればよいのか。脳科学的に有効な答えは「まず重要なアンカーだけを打込む」ということです。最重要に「限定」します。

脳科学からみた勉強法 まずは重要なアンカーだけを打込むこと

脳が新しく知識を取り入れるとき、すでに脳内に、その知識と「関係のある記憶」があるほうが記憶しやすくなります。だからまずその科目の「中核となる知識」を「アンカー=いかり」として、広い広い「記憶の海」に効率よく沈めていきます。これがまず最初。

そのあとから細かい知識が入ってくると、それらは自然と「アンカー=いかり」と結びつけられます。ここは割合、簡単かつオートマチックです。脳は、こういうことは得意なんです。とにかく結びつくのが大好きです。まあ、そのためのニューロンなんですから。

脳科学からみた勉強法 脳細胞はとてもさびしがり

「脳細胞はさびしがり」といことは理解しておきましょう。ポツンと放り出された孤独な情報は誰とも(どんな情報とも)結びつくことができないのでそのまんま消えてしまいます。科学的な表現でなくて申し訳ないですが、叙情的にいえばそんな感じです。(もう少し科学的にいうと、海馬が、結びつきのない情報にはあまり重要性がないと判断して一晩ですぐに捨ててしまいます。そう、たった一晩です。記憶の掃除人でもある海馬は、恐ろしく働き者です)。

つまり最初から分厚いテキストにとりかかり失敗する人は、何も記憶力がわるいわけではなく、記憶の方法が悪かったんですね。脳の特性を活かせていないだけです。

数学は記憶だというフレーズに踊らされて間違った勉強をしてしまう人もいますが「チャートの記憶」だけでは時間がかかる上に、理解不足で大きく崩れる人もあります。

しかし、このように「結びつき」で記憶した知識は、あとあと、とても思い出しやすくなります。これは、新しい知識を覚えた時に、すでに知っていた他のいろいろな知識としっかり関連づけて記憶したからです。すばやく「記憶のアンカー」をたぐりよせて思い出し、芋づる式のアウトプットが可能になるんですね。

脳科学からみた勉強法 「いちばん薄いテキスト」こそ宝物

この場合、その科目の「中核となる知識」のほうが「何度も登場」したり、「いろいろな物事と関連」していたりするので、記憶するメリットが大きいと言えます。そして「何が中核となる知識であるか」は、「いちばん薄いテキスト」に必要最小限の姿で書かれています。初学で必死に喰らいつき、何度も何度も繰り返さないといけないのは、「いちばん薄いテキスト」です。ここに「最重要の記憶のアンカー」だけが書かれているからです。

「いちばん薄いテキスト」を最初に猛烈に使い込みましょう。

これは建物を建築する上での「フレーム」という言い方ができるかも知れません。「いちばん薄いテキスト」に書かれた「最重要情報」だけで大きなフレームが出来上がります。「基礎的な知識同士がどう結びついているか」がわかります。これにより様々な学習で重要な「初期理解」が完了していきます。

わたしたちがいつもいつも「基礎が大事」と口酸っぱく言われ続けていたのは、実はこういうことなんですね。そして基礎を理解した(つもりになったら)できるだけ早く「基礎問題集」でフレームを固めて行きます。ここをしっかり固めれば、どれだけ膨大な情報でも投げ込んで行けます。脳細胞はさびしがりで「つながり大好き」ですから。

まとめ

基礎参考書と基礎問題集で、「記憶のアンカー」をしずめて、ガチガチに「フレーム」を組むこと。世界史を最初の例にあげましたがこれはどんな勉強でも同じです。司法試験のような難関の試験になるほど基礎である「思考のフレーム」が大切になります。

この記事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。